Google Earthで見る弘前城天守の移動|2015年の曳屋から2026年の曳戻しまで

Google Earthで見る弘前城天守の移動|2015年の曳屋から2026年の曳戻しまで Google Earth(JP)

青森県弘前市の弘前城で、約11年間にわたり本丸中央の仮位置に移されていた天守を、元の天守台へ戻す「曳戻し」が進んでいます。

弘前城では、本丸東面石垣の修理に伴い、2015年に天守そのものを約77.62m移動させる大規模な「曳屋(ひきや)」が行われました。

その後、石垣の解体・積み直しなど長期間にわたる工事を経て、2026年、いよいよ天守を元の位置へ戻す工程を迎えています。

この約11年間の変化は、Google Earthの過去画像にも記録されています。

そこで今回は、1985年から2026年までのGoogle Earth画像を時系列で比較しながら、弘前城天守の移動と石垣修理の変遷を追ってみます。

この記事のポイント
・1985年の工事前の弘前城から比較
・2015年7月の曳屋直前を確認
・2015年9月23日は「弘前城曳屋ウィーク」の開催期間中
・2016~2018年の石垣解体工事を上空から確認
・2021~2024年の石垣積み直しの変化を比較
・2025~2026年、天守は約11年ぶりに元の天守台へ

弘前城ではなぜ天守を移動させた?

弘前城本丸東面の石垣では、以前から膨らみなどが確認されており、大規模な修理事業が進められてきました。

しかし、修理対象となる石垣の上には重要文化財の弘前城天守があります。

そこで石垣を解体・修理するため、2015年に建物を解体せず、そのまま移動させる「曳屋」が行われました。

弘前市によると、天守は本来の天守台から本丸中央方向へ約77.62m移動しました。

その後、2016~2018年度に本丸東面石垣を解体。計2,185石を取り外し、調査などを経て2021年から積み直しが本格化しました。

Google Earthで見る弘前城天守の変遷

ここからはGoogle Earthの画像取得年月に沿って、弘前城の変化を見ていきます。

1985年12月|大規模修理前の弘前城

1985年12月のGoogle Earthで見る弘前城

Google Earth画像取得:1985年12月

最初は1985年12月です。

現在の石垣修理事業が始まるはるか以前の弘前城で、今回の一連の工事を比較する「基準」となる画像です。

この時点では、天守はもちろん本来の天守台上にあります。

2013年9月29日|石垣修理に向けた調査が進む

2013年9月29日の弘前城 Google Earth

Google Earth画像取得:2013年9月29日

2013年度には、本丸東端平場や本丸東側石垣の根石周辺などで発掘調査が行われました。

Google Earthを見る限り、天守そのものはまだ従来の位置にあります。

後に大きく景観が変化する弘前城ですが、この段階ではまだ「いつもの弘前城」に近い姿を見ることができます。

2015年7月7日|天守曳屋の直前

2015年7月7日 弘前城天守曳屋前のGoogle Earth画像

Google Earth画像取得:2015年7月7日

2015年になると、上空から見た本丸の様子にも変化が現れます。

この年、弘前城天守は石垣修理のため本丸中央へ移動することになります。

画像取得日は7月7日。天守の曳屋が本格的に行われる直前の状態を記録した、貴重なGoogle Earth画像です。

2015年9月23日|「曳屋ウィーク」開催中に撮影

2015年9月23日 弘前城曳屋ウィーク期間中のGoogle Earth画像

Google Earth画像取得:2015年9月23日

今回の過去画像の中でも特に興味深いのが、2015年9月23日の画像です。

弘前城では2015年9月20日から27日にかけて、一般参加者が綱を引いて天守の移動を体験する「弘前城曳屋ウィーク」が行われました。

つまり、このGoogle Earth画像が取得された9月23日は、まさに曳屋イベントの開催期間中にあたります。

Google Earthの過去画像と実際の工事記録の日付を照合することで、歴史的な天守移動が行われていた時期の弘前城を上空から確認できます。

2016年10月19日|天守移動後、石垣修理へ

2016年10月19日 天守移動後の弘前城 Google Earth

Google Earth画像取得:2016年10月19日

2016年の画像では、天守が元の天守台から離れ、本丸中央の仮位置へ移っていることが分かります。

弘前市では2016~2018年度に本丸東面石垣の解体工事を実施。

石を一つずつ番号管理しながら取り外し、石垣の背面構造や石材そのものについても調査が行われました。

2018年10月|2,185石に及ぶ石垣解体

2018年10月 弘前城石垣解体工事 Google Earth

Google Earth画像取得:2018年10月

2018年度は、本丸東面石垣解体工事の最終年度です。

今回の修理では、最終的に計2,185石もの石が解体されました。

2013年や2015年の画像と比較すると、天守だけでなく本丸東側の景観そのものが大きく変わっていることが分かります。

2021年7月18日|石垣の積み直しが始まる

2021年7月18日 弘前城石垣積み直し Google Earth

Google Earth画像取得:2021年7月18日

長期間にわたる調査などを経て、いよいよ石垣を元に戻す工程へ進みます。

弘前城本丸東面の石垣積み直しは、2021年6月23日に開始されました。

このGoogle Earth画像は2021年7月18日取得なので、積み直し開始からわずか25日後の弘前城ということになります。

石垣積み直しは北側工区から進められ、その後、天守台を含む南側工区へと移っていきました。

2024年5月23日|石垣積み直し最終年度

2024年5月23日 弘前城石垣積み直し最終年度 Google Earth

Google Earth画像取得:2024年5月23日

2024年度は石垣積み直し工事の最終年度です。

弘前市によると、この年度は残っていた549石を積み直し、天守台を含む南側部分の工事を進めました。

画像取得日の直前となる5月13日には、弘前さくらまつり終了後の積み直し工事が再開されています。

そして同年12月19日、天守台北面最上段の最後の石が積まれ、2,185石すべての積み直しが完了しました。

2025年6月9日|石垣修理から天守を戻す準備へ

2025年6月9日 弘前城 Google Earth 天守曳戻し準備

Google Earth画像取得:2025年6月9日

2024年12月に石垣の積み直しが完了し、工事はいよいよ「天守を元へ戻す」ための段階へ移っていきます。

一方で、単純に天守を石垣の上へ戻せばよいわけではありません。

重要文化財である天守の耐震性を高めるため、天守台部分には基礎杭や耐圧盤を設ける基礎耐震補強工事も進められています。

約10年前の2015年画像と比較すると、同じ弘前城本丸でも、その姿が大きく変化してきたことが分かります。

2026年8月|約11年ぶりの「曳戻し」

2026年8月 弘前城3D Google Earth 天守曳戻し

Google Earth 3Dで見る弘前城(2026年8月確認)

そして2026年。

2015年に本丸中央へ移動した天守を、約11年ぶりに元の天守台へ戻す「天守曳戻し工事」が本格化しました。

6月には天守をジャッキアップ。6月末から移動用レールを設置し、7月3日時点で天守は東へ18m移動しました。

その後は天守の向きを変える回転工程などを経て、元の天守台を目指しています。

8月22日・23日には、市民や一般参加者が綱を引いて天守を動かす「弘前城天守曳戻し体験」も開催。

2015年の曳屋から約11年。

弘前城は、再び本来の姿へと近づいています。

そして2026年、弘前城をGoogle Earth 3Dで見られるように

今回の時系列を追っていて、もう一つ興味深い変化があります。

2013年、2015年、2018年、2021年、2024年と弘前城の大規模修理をGoogle Earthで追いましたが、その変化を確認できるのは主に上空から見た2Dの航空・衛星画像でした。

ところが、天守の曳戻しが行われる2026年、弘前市が3D表示都市となりました。

弘前城周辺がGoogle Earthのフォトリアルな3D表示でも俯瞰できるようになりました。

約11年前、天守が元の場所から動いていく過程は「平面」で記録され、その後の石垣解体、積み直しも2D画像の変化として残されています。

そして天守が元の天守台へ戻ろうとしている2026年、その最終局面を今度は立体的な3D空間として見ることができるようになったわけです。

これは偶然とはいえ、非常に興味深いタイミングです。

「2Dで追ってきた約11年間の大修理が、完成時には3D表示で見られる」

※完成直後に3D表示がすぐに更新するとは限らず、一定期間更新で新たな弘前城の姿を待たなければならないかもしれません。

Google Earthの表示エリアそのものの変化を追っていると、弘前城の文化財修理と地図技術の進化という、二つの時間軸がここで重なって見えてきます。

Google Earthで並べると分かる「11年間の大移動」

画像年月 弘前城の状況
1985年12月 大規模修理前・天守は本来の位置
2013年9月 石垣修理に向けた調査期
2015年7月 天守曳屋直前
2015年9月 天守曳屋・曳屋ウィーク開催中
2016年10月 天守移動後・石垣解体工事
2018年10月 石垣解体工事の最終年度
2021年7月 石垣積み直し開始直後
2024年5月 石垣積み直し最終年度
2025年6月 天守基礎・曳戻し準備段階
2026年8月 約11年ぶりの天守曳戻し

2015年と2026年、市民が再び弘前城を動かす

今回の工事で興味深いのは、巨大な天守の移動そのものだけではありません。

2015年には「弘前城曳屋ウィーク」が開催され、市民らが実際に綱を引いて天守の移動に参加しました。

そして約11年後の2026年8月22日・23日にも、今度は元の天守台へ戻すための「曳戻し体験」が行われています。

2015年に「動かす」ことに参加した人々と、2026年に「戻す」ことに参加する人々。

弘前城の大規模修理は、文化財を保存する工事であると同時に、市民がその歴史の一部に直接参加する事業にもなっています。

まとめ|Google Earthに残った弘前城「世紀の大修理」

弘前城本丸石垣修理事業は、天守を約77.62m移動させ、2,185石もの石垣を解体し、再び一つずつ積み直すという非常に大規模な工事です。

地上から見ると工事は少しずつ進んでいるように感じますが、Google Earthの過去画像を時系列に並べると、その変化は非常に明瞭です。

天守が本来の位置にあった時代。

天守が本丸中央へ移っていく2015年。

石垣が解体された時代。

そして石垣が復元され、天守が再び元の場所へ向かう2026年。

約11年間に及ぶ弘前城の「大移動」が、Google Earthにも記録されていました。

天守が元の天守台へ戻った後、Google Earthの航空・衛星画像や3D表示がどのように更新されていくのかも、今後注目していきたいところです。

参考資料

  • 弘前市「弘前城本丸石垣修理事業」
  • 弘前市「令和6年度 弘前城本丸石垣修理 事業内容」
  • 弘前市「令和7年度 弘前城本丸石垣修理 事業内容」
  • 弘前市「令和8年度 弘前城本丸石垣修理 事業内容」
  • Google Earth 過去画像・3D表示

※Google Earthの画像取得日は画面上に表示された撮影・取得情報をもとにしています。工事状況については弘前市が公開している弘前城本丸石垣修理事業の資料と照合しています。航空・衛星画像の取得時刻と個々の工事工程の実施時刻が一致することを示すものではありません。

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