「岩国はなんでこんな表示なんだろう?」
Google Earthで岩国市を見たとき、そう感じた人も多いかもしれません。
駅の東西で3Dと2D。そして岩国城の天守閣は3Dで立ち上がっているのに、その足元にある関連し施設や錦帯橋は2Dのままです。
全国でも有数の観光地でテレビでもよく紹介される街なのに、なぜGoogle Earthでは「半分だけ立体」のような見え方になっているのでしょうか。
今回は、Google Earth上に現れたこの少し珍しい「2.5D」の理由を、岩国城と錦帯橋の位置関係から見ていきます。
岩国市は三拍子揃った主要地方都市
岩国市は人口約12万人の都市で、山口県東端に位置し、山口県と広島県の県境に接しています。
県庁所在地である山口市や、県内最大級の都市機能を持つ下関市とは一定の距離がある一方で、広島市までは約35kmと近く、広島都市圏との結びつきが非常に強い地域でもあります。
交通面では、山陽本線に加え山陽新幹線(新岩国駅)や山陽自動車道が通り、さらに岩国錦帯橋空港も有するなど、山陽地方における交通の要衝となっています。
また、瀬戸内工業地帯の一角として工業機能を担う一方で、錦帯橋や岩国城といった観光資源も有し、工業都市と観光都市の両面を持つ都市でもあります。
そのため岩国市の中心である岩国駅周辺の都市景観は、人口規模から想像される以上に広がりと密度を感じさせるものとなっています。
そのため、交通結節点としての性格や都市機能の集積を背景に、岩国市の都市景観をGoogle Earth上で立体的に俯瞰してみたいと感じる人は一定数存在すると考えられます。
岩国市の2.5Dの立体表示状況は全国でも稀
Google Earthの2.5D表示に見る岩国市中心市街地
Google Earthにおいて中心市街地の表示には、3D表示と2D表示が混在するケースが見られます。
本記事ではこのように、同一都市内で立体表現と平面的表現が共存する状態を「2.5D都市」と定義します。
このような表示は全国各地に散見されますが、岩国市のように主要な地方都市でありながら、駅を境に3D表示と2D表示が明確に分断されている事例はありません。
現在、多くの地方中核都市では中心市街地の3D化が進んでおり、その意味で岩国市の表示構造は相対的に特異な位置づけにあります。
こうした地理情報表現の“境界性”こそが、岩国市の2.5D都市としての興味深さを際立たせています。
Google Earthの2.5D表示に見る岩国城と錦帯橋
岩国城は、現在の錦帯橋の東側に位置する横山(城山)山頂に築かれた山城で、天守は山上に置かれていました。一方、麓には藩の政務や日常業務を担う政庁が配置され、実質的な政治・行政の中心は山麓側にありました。
錦帯橋は、1673年に架けられた五連の木造アーチ橋で、錦川に架かる日本屈指の景観橋として知られています。現在も観光資源として高い価値を持っていますが、Google Earth上では周辺の一部エリアと同様に3D建築物としての再現対象には含まれておらず、2D表示エリアとして扱われています。
そのためGoogle Earthでは、岩国城の山上天守のみが立体的に表示される一方で、麓の政庁跡や錦帯橋周辺は平面的な2D表示にとどまっており、同一の歴史景観でありながら表現の差が生じています。これは地形データや3D建築モデルの整備状況により、再現範囲が限定されているためと考えられます。
主要地方都市の岩国市はなぜ2.5D都市なのか
なぜ岩国市のように、都市として多くの優れた要素を備えた主要都市でありながら、いわゆる「2.5D都市」として見えるのでしょうか。
前提として、3D表示かどうかは都市の評価や実力を直接反映するものではありません。仮に都市の規模や機能だけで表示が決まるのであれば、岩国市も同規模の都市と同様に、全面的な3D表示になっていても不思議ではないはずです。
しかし実際には、Google Earthにおける表示は、都市の価値評価というよりも、地形データや建物データの整備状況など、いわば一定の技術的・データ的条件によって段階的に構成されているように見えます。その結果として、岩国駅周辺の一部で3D表示が止まり、周辺と異なる表示の切り替わりが生じているものと考えられます。
このように、都市の評価とは無関係に、ある種の機械的なデータ処理の結果として表示の境界が現れている点は、むしろ興味深い現象です。
そして、その境界がたまたま主要駅という都市の中心で起きていること自体が、岩国市の「2.5D都市」としての面白さを際立たせているように感じられます。
将来の岩国市における3D表示の展望
岩国市の3D表示の現況を見ると、単独で段階的に整備が進んでいるというよりも、広島市周辺や厳島周辺にかけて形成されている3D表示エリアの拡張過程の一部として現れているようにも見受けられます。
同じ山口県内でも、周南市や防府市のように都市単体で比較的まとまった3D表示へ移行しているケースとはやや異なる様相を示しています。
今後の更新の流れを踏まえると、岩国市中心市街地については、段階的に3D表示化がさらに進む可能性は高いと考えられます。
一方で注目されるのは、新幹線駅である新岩国駅周辺の山間部です。このエリアは地形的に市街地と分断されているため、3D表示化がどのように進むのかは興味深いポイントです。
一般的には、こうした山地を挟んだエリアでは3D表示が連続せず、中心市街地から離れた地域は後回しになる傾向があるように見えます。
しかし実際には、新岩国駅へ向かう途中の山間部においても部分的に3D表示が見られ、すでにその延長が目前まで迫っている状況です。この点は、他の都市ではあまり見られない特徴であり、非常に興味深い現象といえます。
そのため、今後新岩国駅周辺がどのように3D化していくのかは、引き続き注目したいポイントです。
最後に
この記事を公開したあと、岩国市がGoogle Earthで全面3D表示へ更新される可能性ももちろんあります。それでも今回見られた「半分だけ立体」の景観は、その瞬間にしか見られないGoogle Earthの記録です。
都市の歴史を残すのと同じように、Google Earth上で街がどう表現されていたかもまた、その時代を映すひとつの記録です。こうした過渡期の姿もまた、貴重な足跡として残っていくのではないかと思います。
そして今後、岩国市のGoogle Earthにおける完全3D化が進み、そのことが岩国市のさらなる地域振興や魅力発信につながっていくことを、私も願っています。
既存のGoogle Earth都道府県別3Dリストや新規3D更新状況と並行しながら、今後も気になった都市のGoogle Earthならではの特徴や、見え方の違いについて引き続き発信していく予定です。
また気になる都市があれば取り上げていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。










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