日本を代表する歴史ある観光都市の1つ、山口県萩市がついにGoogle Earth/Mapsにおいて3D表示都市となりました。
実は私は萩市を訪れたことはありません。
萩といえば、毛利氏の城下町として知られています。萩城跡や武家屋敷など、歴史的な見どころが多いことは知っていました。そうした観光資源が現代の都市の中に点在しているそんなイメージでした。
しかし、Google Earthで立体化した街なみを俯瞰してみると、私が知らなかった萩の姿が次々と見えてきました。
観光地として有名な場所はもちろんのこと、日常的な街の姿に興味を引かれました。
今回はGoogle Earthの3D画像を使いながら、萩市の町並みを探索してみたいと思います。
Google Earth/Maps 萩市の3D表示エリア全域
まずは萩市の3D表示エリア全体を確認します。
萩の中心市街地は、日本海に面した阿武川河口の見事な三角州に広がっています。
周囲を山々に囲まれ、その間に市街地が形成されている様子がよくわかります。
今回の探索では、城下町だけでなく、周辺の駅や港町、海岸沿いの集落にも目を向けました。
黄色い線は、今回確認したGoogle Earthの3D表示エリアの境界です。
旧松本村
まずは街の中心が広がる三角州の中ではなく、あえて外側に広がる集落について触れます。この地区はGoogle Earthで眺めると、川を境に町の構造が変わっていることがわかります。
見るからに近年になって開発されたようなものではないことはすぐにわかります。萩市近郊にあるというだけで趣と歴史を感じ取れます。
このかつて松本村と呼ばれた一帯には、幕末に活動していた多くの方々の所縁がある場所だと後から知りました。
今や歴史上の人物となった萩の方々の中には身分制度を乗り越えて日本中の中心人物となった方は少なくありません。それでもこうした方々にまつわる観光資源は市内中心部に多くあるものだと思っていました。
いまわれわれが当たり前のように過ごしている現代は、ここ旧松本村出身の偉人の方々によりもたらされた部分が少なからずあると言ってもいいのではないでしょうか。
萩市と周辺の駅
町を探索するとき、私が特に興味を持つ場所の一つが鉄道駅です。
駅そのもの、駅構内の配線、規模、構造。駅とその周辺。街における駅の役割。挙げれば際限がありません。
さらには駅前の景観、周辺の住宅、隣駅との距離にもその町の歴史と背景が表れているように感じます。
萩市にはJR山陰本線が通っていて、市内中心の近い位置に萩駅、東萩駅、玉江駅があり3D表示エリア内にあります。さらに驚くことに東西の山地を挟んだ場所にある三見駅、越ケ浜駅、長門大井駅までもが3D表示になりました。
萩市とその周辺の日常を感じることができる貴重な資料とも言えます。
東萩駅
まずは東萩駅です。
市役所などの行政機関にも最も近い萩市の代表駅です。かつて定期運行の特急列車が市内で唯一停車していた駅です・・・ということは後付けで知りました。
東萩駅前:近代的かつ都会的、市の代表駅周辺が持つ風格
私は萩駅が市の代表駅だと思い込んでいました。
Google Earth上での萩駅観察中に見失い探していた時に偶然立派な駅と周辺市街地が目に入ったことが東萩駅に関心を持ったきっかけです。
東萩駅一帯を見たときに萩市には代表駅とは別にこんな立派な駅と周辺市街地がある!と目を光らせたのです。
観光都市としての鉄道の玄関口は萩駅が担い、市内都市圏内輸送の受け皿として中心部に近い東萩駅が置かれているのかな?と思いました。
しかし急激に東萩駅に関心を持ち調べて真の姿を知ると、歴史的な城下町としての萩とはまた違った一面で萩市の玄関口として整備されてきた様子がわかりました。
山陰本線と大河(松本川)の間の極めて狭い土地いっぱいに大きなロータリーが整備されており、個人的にこうした極端な景観の展開がとても好みです。
東萩駅周辺:近代的な建物の中にレトロな景観も
近代的な風景の駅前ロータリー周辺から少し視点を移してみると、レトロな建物が多い街区が見えてきます。橋を渡れば江戸時代の城下町の風情が残るエリア。
萩橋を隔てて近代と江戸時代の面影を残す町が対峙しているように感じます。街そのものが日本の発展史のようです。
東萩駅:市内中心部に直結、その景観と萩城方面
東萩駅ロータリーを出てすぐに大きな萩橋があり、そして市内中心部。東萩駅周辺から視点を高くすると、萩の市街地と、その先にある萩城方面まで見渡せます。
東萩駅は中心市街地の最寄りでもあり、歴史的価値の高い旧松本村にも一番近い駅です。
萩駅
萩市の中心市街地は江戸時代の萩城下を想起させてくれる街並みであることがよくわかりました。
そして萩駅。萩駅が想起させてくれるものは近世日本の鉄道草創期です。
萩駅前:重厚な駅舎と周辺の建造物、昔の町並みを思わせる建物配置
Google Earthで駅前を眺めてみると、駅舎だけでなく周囲の建物やその配置にも興味を引かれました。
大きな建物ばかりではありませんが、道路沿いに並ぶ住宅や古い建造物が独特の雰囲気をつくっています。
都市の駅前という場所は、時代とともに大きく変わることが多いものです。
それでも萩駅の周辺には、昔の町の姿を想像させる景観が残っているように感じました。
萩駅南側:趣のある製材会社
萩駅の南側では、線路沿いにある製材会社の建物が目に留まりました。
広い敷地に建物が並び、木材を扱う作業場らしい雰囲気があります。
近代的な工場とは異なる、昔ながらの産業施設を思わせる景観です。
鉄道と製材業の間に、かつてどのような関係があったのかも気になります。
今回の画像だけでは歴史まではわかりませんが、駅周辺を探索していて発見した興味深い場所でした。
萩駅にはかつて様々な駅構内設備があったのではないか?そんな敷地が広がります。
玉江駅
玉江駅は萩駅や東萩駅と比べて、控えめな存在の駅だと思っていました。
ところが駅周辺を見てみると、三駅の中で最も萩城跡に近く、漁港や古い町並みも身近にあることがわかります。
玉江駅と駅前:ホームへは階段を上がり高台へ
玉江駅は、周囲の道路よりも高い位置にホームがあることがわかります。
東北本線の白河駅と同じ構造で駅舎から階段を上がってホームへ向かう構造が特徴的です。
玉江駅前から延びる鍵型の大通り、萩城に近い駅
駅前から延びる道路を追っていくと、途中で向きを変えながら町の中へ続いています。
周辺には住宅地が広がり、古い町並みを感じさせる場所もあります。
玉江駅は萩城跡に近い駅ですが、萩城直結の交通機関も拠点となる施設が無いようで観光目的としての駅の乗降はあまりないようです。しかし私にとって城下町を探索する際には気になる存在の駅です。
萩城下に向かう前にこの街区を抜けることで、萩という町の深みをより感じられるのではないかと思いました。
そして漁港も比較的近く、港町を抜けたら城下町という雰囲気を味わいに行きたいものです。
三見駅
萩の中心市街地から西へ離れた場所にある三見駅です。
市街地の駅とは異なり、自然に囲まれた小さな駅の景観が印象的です。
周辺には山々が迫り、山陰本線と海岸線との決して広くない空間に昔ながらの町割りで所狭しと民家が密集しています。駅舎や駅前広場を設置する隙間すら無いほどに線路に民家が迫ってきている印象です。
こうした駅の周囲の建物や道路にも目を向けてみたくなる景観です。
越ケ浜駅
東萩駅の東隣にある駅です。
起伏や緑を交えながら東萩駅からの連続した市街地感を得ながら到達するような感じなのでしょうか。
越ケ浜駅は大自然に相応しい素朴な駅とも言えますが、周辺のマリーナや集落の規模を見ると素朴な駅にも感じるというギャップにも惹かれます。
鉄道が敷かれ駅が設置されてからマリーナのための埋め立てが行われたのでしょうね。
かつての越ケ浜駅前の海岸線はどのくらいちかかったのでしょうね。
長門大井駅
東萩駅から2駅目。
長門大井駅周辺は越ケ浜駅周辺よりも長閑さが増している印象があります。
周辺には田畑が広がり住宅が点在しています。その向こうには日本海が見えます。
しかし、上空から俯瞰して周囲を見渡すと、海沿いの僅かな場所や漁港の周囲に所狭しと民家が立ち並び、突き出た半島にはかつての城の跡もあります。
この地域における鉄道が敷かれるよりも前の集落の営みが目に浮かびます。
大井は海沿いが中心、駅前は落ち着いたエリアという棲み分けですね。
浜崎町:城下町を支えた港町
先入観無しで萩の街並みを初めてGoogle Earthで眺めました。
しかし浜崎町についてだけは不可抗力(?)で事前に情報を得ていました。
そのため、ここだけは少しだけ先入観を持っています。
萩城下町の形成とともに発展した港町ということが俯瞰しただけでもわかります。
江戸時代に廻船業や水産業で栄えたできた昔の道路や敷地の形が現在も残っているのですね。
(2001年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたとのこと)
通り沿いに町屋のような建物が密集して立ち並ぶ様子は圧巻です。
中心市街地の一角にこれほどの規模の貴重な街並みがあることに感動しました。
鶴江町:高台と河口の間に広がる美しい町並み
鶴江町は、浜崎町俯瞰の途中で思いがけず興味を引かれた場所です。
背後には緑の高台が迫り、その反対側には川が流れています。
Google Earthで眺めると、その間の細長く限られた土地の道路に古の宿場のように家々が連続する様子がよくわかります。
広い平地に計画的につくられた住宅地とは異なり、地形に合わせて町が美しく形成されてきたように見えます。先人の方々は美しさよりも機能を優先して町をつくったのでしょう。しかし、後世の私たちには、それが美しい景観として映ります。
椿町:萩駅から続く道の先にある町
素朴な萩駅周辺から延びる道路を追っていくと、椿地区の町並みが広がっています。
Google Earthで見ると、密集した住宅地の中に古い建物や緑の多い敷地が残っていることがわかります。
江戸時代には萩城下の外縁があった場所、その後は椿村がありその中心市街地。
鉄道は萩市街地の椿地区を避けて敷かれ、萩駅は郊外に置かれたわけですね。
函館のような越ヶ浜:海に突き出した美しい集落
先ほど登場しました越ヶ浜駅からほどなく近い場所にある越ケ浜。
なかなかお目にかかれない形状美をもつ港町です。
海に向かって細長く延びる土地に住宅が密集し、その両側に港が広がっています。
背後には緑に覆われた山があり、青い海との対比が美しい場所です。
そしてなんと海からほどなく近い場所に池(明神池)まであります。
沼津市近郊にも同じような池があり、たしかここは海の傍の池なのに淡水だったような・・・。
Google Earthでここを初めて俯瞰したとき、北海道の函館を思い浮かべました。もちろん函館とは厳密には異なりますが、両側が海で幅が狭い土地に町が集まっている姿と先端にある山に共通するものを感じました。
吉見氏ゆかりの櫛山城跡
萩の海岸沿いを探索していると、櫛山城跡という表示が目に留まりました。
萩城については知っていましたが、櫛山城という城の存在は今回初めて知りました。
Google Earthで見ると、海に面した山の上に城跡が位置しています。
周囲は険しい斜面になっており、海を見渡せる場所です。
櫛山城は吉見氏に関係する城跡として知られています。
萩城との関係性にとても興味を引かれましたが、もともとは萩城のあった場所に城を構えていたのが吉見氏でそのごこちらに移ったということなんです。
現在は山林に覆われていますが、かつてこの場所に城があったことを想像しながら眺めると、地形の見え方も変わってきます。
ここは先ほど紹介済みの長門大井駅から近い場所にあります。
櫛山城と萩城の位置関係
さらに視点を高くして、櫛山城と萩城の位置関係を確認しました。
萩城は市街地の西側にある指月山の麓に築かれています。
一方、櫛山城跡は萩湾を挟んだ別の場所に位置しています。
Google Earthでは、二つの城跡と海岸線の関係を一度に確認できます。
田町商店街:指月山を背景に広がる市街地
萩の中心市街地を探索していて目に留まったのが住宅や商店が密集する町の中を長く延びているアーケード、ここは田町商店街です。
Google Earthで俯瞰すると、アーケードの屋根が周囲の建物の間を一直線に続いている様子がわかります。
そして、その向こうには萩城のある指月山が見えます。
ストリートビューでアーケード内に入ってみると、昨今よく目にする地方中小都市に散見される寂しい感じがしません。整然と商店が立ち並び、歩道も整備され、全体的に力強さを感じます。
商店街による振興ための様々な工夫や施策が垣間見えます。
アーケード商店街の周辺には更に多くの商店街がありました。
電線が地中化されており商店街としての景観がとても美しく感じました。
歴史と観光都市の萩市ですら全盛期の賑わいは過去のものとなったのかもしれません。しかしその痕跡を感じることができます。これも都市散策の醍醐味と言えます。
萩市への訪問は、観光・宿泊と併せて街中の商店街の散策もセットにしたいと強く心に決めました。
萩には、歴史的な観光地だけではない、現在の人々の暮らしを感じられる町並みも広がっています。
萩城:指月山の麓に残る城跡
萩を代表する歴史的な場所が萩城跡です。
Google Earthの3D表示により見事な城跡を様々な高さや角度から俯瞰できるようになりました。
山の麓に広がる城跡の構造がよくわかりますね。
山と海と川、自然の地形を利用して城が築かれていたことを、立体的に感じることができます。
地上から石垣を見るのも魅力的ですが、3D画像では城全体の配置を確認できるところに面白さがあります。
萩城下に広がる長い白壁と広い屋敷地
萩城下に、もう一つ興味を引かれた場所があります。
Google Earthで俯瞰すると、現在の一般的な住宅地とは異なる、大きな敷地の区画が残っていることがわかります。長い白い塀に囲まれた広い街区、堀内地区です。
堀内地区は、江戸時代には萩城の三の丸にあたり、毛利一門や重臣たちの屋敷が集まっていた場所です。
江戸時代の城下の家臣の屋敷もまさにこのような意匠だったのでしょうか。
もしそうであれば、いくら中世の景色を色濃く残す城下町とはいえ、現代にこのような構造物が数多く見ることができるということに本当に驚きです。
当時の町割りや土塀、石垣などが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
堀内地区の画像を見て、城下町の歴史は有名な建造物だけに残っているのではないと感じました。
道路の幅や曲がり方、敷地の広さ、塀の長さにも、昔の町の姿が表れています。
このような景観が現在まで残っていることに感心しました。
地域と行政一体の保存活動に敬意を表します。
校舎敷地、中庭に日本家屋
私立の学校法人の校舎と校舎の合間には中庭ではなく、歴史的な日本家屋と庭園が見えます。
この共存は見事です。
見学は可能なのでしょうか。
現地を歩いていても見つかりませんよね。
Google Earth/Mapsの3D表示だからこそ目に留まるのです。
その上でこの学校の校舎の前で立ち止まり、奥にこのような家屋があるのだともうそうするのも一興です。
Google Earthで探索して感じた萩の魅力
今回、Google Earthの3D画像を使って萩市を探索してみました。
最初は、萩城や古い武家屋敷が残る歴史的な町という印象を持っていました。
しかし、実際に俯瞰してみると、それだけではありませんでした。
萩市内に存在する駅とその周辺。
さらに、浜崎の港町、鶴江町の細長い住宅地、越ヶ浜の美しい地形など、これまで知らなかった萩の魅力たっぷりな場所を数多く知ることができました。
萩市の3D表示化がきっかけとなって、萩市に対して深く興味を持ち、萩市の歴史や地理、生活風土を知りたいという欲求に繋がりました。
机上だけにとどまらず、実際に萩市を訪問したいという願望が芽生えています。
Google Earth/Mapsの3D表示化は、様々な学術やビジネスにも活用できますが、観光誘致にもつながると感じています。
参考資料
※掲載画像はGoogle Earthの3D表示を利用して2026年10月26日に確認したものです。3D画像の撮影時期と記事の公開時期は必ずしも一致しません。


























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