自分が住んでいる街や、気になる街の目的地を探したり、旅行前に周辺を確認したりと、Google Earthは街を俯瞰して眺めるための便利なツールですよね。
私はその街がGoogle Earth上で2D(平面/航空写真)表示なのか、3D(立体化/ポリゴン)表示なのかをつい確認してしまいます。なので、まず2D表示の都市を見に行く、という少し変わっていると思われる使い方をしています。
もちろん3D表示の都市もガッツリ見ます。気になる街の都市景観、スカイラインを時間を忘れて眺めるのは至福の時間です。
しかし、2D表示の都市には3D表示の都市にはない別の楽しみ方があります。
それは、街全体は平面表示のままなのに、ある特定の建物だけが立体化されている、という現象を見つけることです。
その建物は「駅」であったり、「橋」であったり、「ビル」であったり、そして「お城」であったりします。目的の都市を何気なく眺めているうちに、ふと気づく。周囲の市街地は2Dのままなのに、そこだけが明らかに3Dになっている。そうした場面に何度も出会いました。
この記事では、①街は2D表示のまま、②城だけが3D化されている、という事例を取り上げて眺めていきます。紹介する城郭は、私自身がこれまで確認できた10の事例に加え、「日本100名城」「続日本100名城」も参考に新たに確認した6つの事例から構成されています。
さらには「城だけ3D」その理由や背景なども考察します。
こうした条件に合致した理由について、はっきりした答えがあるわけではありません。考察は交えますが、理由を断定したり結論を急いだりすることはしません。同じような事例を見つけた場合は、今後も記事を更新していく予定です。
「誰も気にしないけれど、確かにある。」そんな現象を、Google Earthを眺めながら一緒に楽しんでいただければと思います。
全国の「街は2D表示なのに、城だけが3D化されている風景」
「テクスチャが美しいGoogle Earthの日本の城16選」とも言えるお城たちです。さぁツアーの始まりです。
北海道
松前城
- 所在地:北海道松前郡松前町
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(復元)、本丸御門(現存)、本丸御門東塀(復元)
青森県
弘前城
- 所在地:青森県弘前市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(現存)、本丸周囲の石垣
福島県
白河小峰城
- 所在地:福島県白河市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:三重櫓(実質的な天守・復元)、前御門(復元)、本丸周囲の石垣
福井県
越前大野城
- 日本100名城をもとに確認
- 所在地:福井県大野市
- 史跡指定:県
- 100名城指定:続日本100名城該当
- Google Earthで3D化されている構造物:大天守小天守(復元)、本丸周囲の石垣
丸岡城
- 日本100名城をもとに確認
- 所在地:福井県丸岡市
- 史跡指定:未指定
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(現存)
岐阜県
郡上八幡城
- 続日本100名城をもとに確認
- 所在地:岐阜県郡上市
- 史跡指定:県
- 100名城指定:続日本100名城該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(復元模擬木造)、大手門(復元)、隅櫓、石垣
高山陣屋
- 所在地:岐阜県高山市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:対象外
- Google Earthで3D化されている構造物:御門、長屋、御蔵、御役所、郡代役宅、書物倉(すべて現存)
三重県
伊賀上野城
- 所在地:三重県伊賀市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(模擬)、高石垣
京都府
福知山城
- 所在地:京都府福知山市
- 史跡指定:市
- 100名城指定:続日本100名城該当
- Google Earthで3D化されている構造物:大天守小天守(復興)
兵庫県
出石城
- 続日本100名城をもとに確認
- 所在地:兵庫県豊岡市出石町
- 史跡指定:市
- 100名城指定:続日本100名城該当(有子山城と一緒に)
- Google Earthで3D化されている構造物:本丸西隅櫓(復元)東隅櫓(復元)、石垣
- 有子山城(山城)跡は2D表示
篠山城
- 所在地:兵庫府丹波篠山市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:大書院(復興)、本丸石垣
岡山県
津山城
- 所在地:岡山県津山市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守台石垣、本丸石垣、二の丸石垣、三の丸石垣、備中櫓(復興)
愛媛県
宇和島城
- 所在地:愛媛県宇和島市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(現存)、石垣
大洲城
- 日本100名城をもとに確認
- 所在地:愛媛県大洲市
- 史跡指定:県
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(再建)、高欄櫓(再建)、台所櫓(再建)、石垣
佐賀県
唐津城
- 続日本100名城をもとに確認
- 所在地:佐賀県唐津市
- 史跡指定:未指定
- 100名城指定:続日本100名城に該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(模擬)、本丸櫓門(再建)、化粧櫓(再建)、亀頭櫓(再建)、石垣
長崎県
島原城
- 所在地:長崎県島原市
- 史跡指定:国
- 100名城指定:該当
- Google Earthで3D化されている構造物:天守(再建)
街も城も2D表示の主な名城の例
日本の100名城や続100名城に該当している名城でも2D表示の城郭は数多くあります。
考察してみていくつかのパターンがあることに気付きました。
① 山城/建造物は無い/石垣のみ/樹木などに埋もれている
安土城、高取城など多数
いかに知名度抜群の名城と言えど、こればかりは3D表示の製作上どうしようもないことですね。
② 山城/建造物は無い/石垣のみ/樹木に埋もれていない
岡城、竹田城など
③ 平城または平山城/建造物がない/石垣や土塁のみ
名護屋城、原城など
④ 平城または平山城/建造物や石垣などがしっかり残っている/地理的にも3D表示に向いている/なぜか2D表示
赤穂城、二本松城、白石城、佐土原城など
この中で赤穂城は知名度や地理的条件、建造物の有無など全てにおいて好条件が揃った城郭であり、間違いなくお城だけが3D表示だと確信を持っておりましたので正直驚きました。
当記事内で紹介の出石城が3D表示しているケースを考えれば、二本松城も仲間入りをしてもおかしくありません。飫肥城(宮崎県)も同様だと思いますがやや樹齢の高い樹木に埋もれているために3D表示への遺構は難しいのかもしれませんね。
街は2D、城だけ3Dの条件とは
前項の「街も2D、城も2D」の考察から「城だけ3D」の条件が見えてきます。
① 形状的地理的な条件
・山城の場合は天守のような大柄の建造物が必須
・平城の場合は天守はなくても櫓や門、御殿などの建造物がほぼ必須
② 天候などの条件?
・対象物のクリアな画像を確保が可能か?容易か?
通常の3Dマッピングの移行には地域や標高によっては好天時の画像がしにくいため移行対象となりにくいようです。
ただ、「街も2D、城は3D」の場合の城郭建造物は3Dマッピングより精工かつクリアに見えます。別途製作資料をもとにして作成しているのでは?と思えるほどです。
そうなりますと天候条件は関係なくなりますね。
③ Googleの判断
「街も2D、城だけ3D」に該当する城郭は全て100名城もしくは続100名城で史跡指定については市、県、国、自治体の規模に関係なく該当しています。
赤穂城(兵庫県)①も②の条件もクリアで国の史跡指定、国の名勝です。歴史的な背景からも日本国内では知名度抜群です。白石城(宮城県)も①も②の条件もクリア で市の史跡指定です。
ここから推察されるのは、城郭を街から独立して3D表示とするGoogleの判断基準は、普遍的な文化的歴史的価値よりも工学的理由を優先している、ということでしょうか。
言い換えれば文化的価値が高い城郭であっても、Google Earthというプロダクトの特性上、立体表示による効果が直感的に伝わりにくい場合は3D化が見送られることもあるのかもしれません。
とは言え、街よりも城郭の建造物の3D表示を優先するには少なからずGoogle側も文化的歴史的価値がフィルターになっているのでしょうね。
「街全体3D」と「城だけ3D」の質感の違い
最後に「街全体3D」の中の城郭建造物よりも「城だけ3D」の方が質感が精巧に見える件について触れたいと思います。
ここでの内容は、Google Earthの公式見解ではなく個々の対象物の表示結果から読み取れる傾向をもとにした考察です。
「街全体3D」と「城だけ3D」の質感の差
-
街全体3D
・広範囲を短時間で立体化
・自動生成が前提
・ランドマークも均一な精度 -
城だけ3D
・対象物を限定
・個別にモデル化
・質感・ディテールを重視
「街全体の3D」は街全体の俯瞰や把握が目的と言えるでしょう。
そのため街全体の広範囲な3D化を進めていることでしょう。その中で城郭建造物は自動3D生成により立体化していると思われます。
一方「城だけ3D」の場合は明らかに個別モデル化を目的としています。
まず対象物の見本が必要になるので制作の元となる既存の写真か現地で撮影した対象物の写真を活用してるしていることが考えられます。
城郭建造物だけに集中して3D化できるということですね。
「街全体3D」と「城だけ3D」の精巧さに違いが生じるというはGoogle Earth愛好家にとってなかなか興味深い事実ですね。
「城だけ3D」と「城だけ3D」同士の質感の差
同じ「城だけ3D」の中でも質感・精巧さに違いがあることに気が付きましたか?
具体的に挙げますと、弘前城の天守閣はしゃちほこに至るまで質感を高めること、つまりは建造物を見せることを目的としたような3Dに見えます。
白河小峰城は個別の建造物ではなく城郭そのものをランドマークとして見せることを目的とはしているように思えます。そのため天守の質感と精巧さについては極限まで重きを置いていないというGoogle Earthの判断の存在を知ることができますね。もちろん白河小峰城の表示が美しいということには変わりありません。
Google Earthは3Dマッピングの閲覧を楽しむものと思われがちですが、こうやって2D表示の中で3D化したお宝(お城、各種建造物)をマイニングすることも楽しいものです。
新しい切り口でGoogle Earthに触れてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。





















































































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